スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

はじまり3

ヲリさんの質問でチャットが止まった。テラのBGMがループする。

「返事ないね。どうしたのかな?」
急に黙ってしまったその人に、私たちは不安になった。
「俺が怒らせたかな^^;」
「怒りはしないでしょw」
ヲリさんとバルさんがパーティーチャットで話している間にログを見直したけれど、私たちがその人を怒らせるようなことを言ったようには見えなかった。
「でも黙ってるし^^;」
「どうしよう~」
深夜だし、このまま返事がなかったらと考え始めた頃、

「・・・君らは新規さん?」

「・・・」の間もそのままに、ログにその人の発言が現れた。






「ごめんねえ」

新規プレイヤーだと思わなかった、サブキャラクターだと思っていた、でも話すうちに「あれ~?」ってなって考えていた、というのがその人の言い分だった。

「怒らせたのかと思った^^;」
「いやいやww」
「質問しまくったからうざかったのかと……」
「ごめんw」

その人は地面のアイテムを指しながら装備やスキルについて私たちに少しずつ説明してくれた。
それによると、その人の話――
『ヲリなら××を持っておくといいよ。HPが増えるから』
『HPが増えると●●でやれる』
は、要するに
"●●というきつい狩場でも××というアイテムを装備していれば死ににくくなって効率よく狩りできる"
という意味だった。

その人は、装備の話、アイテムの話、スキルの話で質問攻めする私たちを「なんとかなるw」の一言で軽く流したけれど、職への質問には様子が違った。

バルさんが聞く。
「バルは何すればいいの?」
「バルは火力だね」
その人は言い切った。
よく見てみれば、敵の姿の変身がとけたその人のアバターは女性。バルだった。
「火力かあ」
「火力ないと話にならない」
「防御は?」
バルさんは突っ込んで聞く。
初めて会う人なのに疑問をどんどん聞けるのはバルさんの強みだ。
「防御は紙。バルはそういうものw」
紙かあ、と言いながらバルさんはアドバイスに頷いている。
「防御あげなきゃいけないのかと思ってた」
「いや、防御上げると火力なくなるから紙でいいんだよ」

バルさんに便乗して私も聞く。
「マジは・・・」
「マジは・・・タゲ取り?w」
「あ、タゲっていうのは敵のターゲットね。敵を集めるって意味w」
オンラインゲームは初めてで、タゲ取りという言葉を聞いたのは初めてだったけれど、意味はなんとなくわかった。
マジは重要ではないということだ。
「転生すればUWで強い」
とも言ってくれたけれど、銀装備では転生のイメージさえわかない。
その人の話が"マジはバルみたいな火力ではないから敵を倒すのに必要とされない"というように聞こえ、私は自分が選んだマジがクロノスで活躍できそうにないのを残念に思った。

「ヲリは?やっぱり火力?」
最後にヲリさんが聞いた。
ヲリさんは強い。タフで敵をどんどんやっつけていく。
3人で狩りをすると、瀕死のバルさんやダメージを与えられない私と比べて明らかに強いので、バルさんも私も「ヲリさん強いね」と言っていたし、ヲリさんもそう言われて喜んでいるように見えた。
バルさんが火力なのだからヲリさんも火力だろうと思っていたし、ヲリさんもヲリは火力という答えを期待していたのではないかと思う。
けれど
「いや」
「え」
その人はそうは言わなかった。
「ヲリは先導」






その人の話によると、先導というのは『効率よく狩るためPTを道案内する役割』のことらしい。

その人は言う。
「『PTより少し先を行くから、ヲリにはHP回復などの支援スキルは届かない』。
『先導ヲリは死ぬ危険があるが、ヲリが死ぬと敵の攻撃力でPTメンバーが死んだり道に迷ったりして効率が落ちる』」
「だからヲリは死んじゃだめ」

バルさんと私はテラをうろうろ歩きながらヲリって大変なんだねと無責任に言い合った。
特に私は自分に関係のない話と決めつけて真面目に聞いていなかった。

「先導って初めて知った・・・ヲリの仕事全然知らなかった^^;」
「ヲリは仕事いっぱいあるよ」
その人は全職キャラを持っていてメインはヲリだと教えてくれた。そして「ヲリが一番面白い」とも。
バルさんと私が遊んでいる横で、ヲリの仕事の話は続く。
いつもは話す時にうろうろ歩き回るヲリさんが、その人の言う『仕事』の内容をじっと立って聞いていた。









<<前へ
スポンサーサイト

ジャンル : オンラインゲーム

テーマ : 眠らない大陸クロノス

はじまり,

| TOP |


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。